研究室概要

当研究室では,生命の分子認識現象にヒントを得た学問である超分子化学を基軸に,材料の分子設計及びその合成,そして電子デバイスやチップ開発に至るまでの包括的・分野横断的研究をおこない,超分子材料の実践利用を目指しています。とりわけ,生命現象を理解する上で重要な生理活性物質,あるいは環境汚染物質を電気的・光学的に検出可能なセンサデバイスの開発に注力しています。


分子認識能を賦与した有機薄膜トランジスタ型化学センサの創製:

OFET-sensor

有機薄膜トランジスタは,軽量性,柔軟性,低環境負荷,大面積デバイス化が可能などの特徴を有していることから,センサデバイス開発において魅力的なプラットフォームです。しかし,センサとしての応用研究は萌芽段階にあり,とりわけ分子認識化学的視点からの研究展開はこれまでにおこなわれていません。そこで本研究では,有機合成化学に立脚して合目的に創製した分子認識材料を有機薄膜トランジスタに組み込むことにより,新たな化学センサデバイスの提案を目指しています。

(e.g. Anal. Chem. 2016, 88, 1092. / Chem. Commun. 2015, 51, 17666.)

 


超分子センサアレイによるハイスループット分析手法の開発:

Array-chemosensor

ホスト-ゲスト化学に基づいて開発される分子センサは,高選択性を有する一方で,多成分を迅速かつ同時に検出することは得意ではありません。本研究では,あえて標的化学種に対して“低選択性”を有する分子センサ群を合成し,これをマイクロアレイ上に並べて,体液などに含まれる多成分をハイスループットに分析する手法を開発します。低選択性分子センサ群のアレイ化により得られる種々の信号応答について,統計学・機械学習に基づくケモメトリックスを用いて解析をおこない,複数種の同時定性・半定量・定量分析をおこなっています。

(e.g. Chem. Commun. 2017, 53, 6561. / J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 11396.)

 


■ 教育方針

化学の大きな魅力は,我々が普段目の当たりにしている現象を分子レベルで理解する手助けになるだけでなく,分子を組み合わせて,新たな機能をもつ物質を創製できることにあると考えています。一方で,工学の楽しさは,比較的に階層が高く目に見える形で人に役立つものをつくることではないかと考えます。当研究室では,今までに誰も目にしたことのない新たな機能をもつ分子を合成する楽しさ,またそれを用いてデバイスを組み上げることで工学の醍醐味を学生のみなさんにお伝えしたいと思っています。”マクロ現象を分子レベルで考察できる思考力”と”生じた現象を見逃さない観察力”を養うためには,文献を調査し,条件を繰り返し工夫して実験に粘り強く取り組む姿勢が求められ,これには大変な努力を要します。時に実験は暗礁に乗り上げることがありますが,みなさんと一緒に考えてそれを乗り越え,私自身も含め成長していきたいと考えています。また,米国・英国と国外での研究経験を生かし,英語によるコミュニケーション能力の向上をサポートします。
(2016年4月1日 南 豪)

 

雑誌会(毎月一人一回づつ発表):
興味深い最新の英語文献を翻訳してレジュメを作成し,研究室のメンバーに紹介します。

 

報告会(毎月一回):
各自の実験状況をお互いに把握して情報共有するため,月一回の報告会をおこないます。