分子認識材料・超分子デバイス研究会とは

本研究会では、分子レベルでの材料設計・開発とそれに続くデバイス応用を包括的に研究し、ひいては社会実装の迅速化を目指します。


「分子」から「デバイス」へ

FROM “MOLECULE” TO “DEVICE”

分子を創る

私たちのからだは, 分子で出来ています。すなわち, 小さな分子同士が互いに引き寄せられ, 影響し合うことで, より大きな集合体を形成しています。個々の分子間に働く力は非常に弱いものの, まるでブロックが組みあがるように各パーツがさらに集まることで, 丈夫な組織をつくっています。

小さなブロックの種類を変えることで, 組みあがる集合体の形が変わるように, 構成する分子によって集合体の機能を自在に操ることができます。本研究会では構成する分子からデザインすることで集合体の機能を最大限に引き出す方法を考えます。

分子を並べる

私たちの鼻には, 匂い分子を捕まえるための受容体が並んでおり, この受容体は, 数多くの匂い分子を同時に認識することができます。受容体と匂い分子の組み合わせによって得られる応答パターンを, 過去の経験と照らし合わせることで私たちは匂いの判別を行っています。

光ったり色が変わったりする分子を並べた「センサアレイ」は, 天然で行われている「分子を認識する」仕組みを人工的に再現した分析ツールです。標的種を捕まえると, 色や光り方の違いで教えてくれるため, この応答パターンを解析することで, 数多くの標的種の種類や温度を同時に判別することができます。本研究会では,身の回りの科学情報を可視化するセンサの普及を目指し, 病気の原因や環境汚染を引き起こす物質を簡便に捕まえるためのセンサアレイを創り, 社会実装へと展開します。

分子を集める

分子によって形成されている私たちのからだは, 機械のように精巧にできており, 小さな分子同士が互いに認識し合い, その認識情報を連続的に伝搬することで, 巧みに機能を制御しています。

分子が規則的に集まって電気を流す有機半導体材料の性質を利用した有機トランジスタは, 超分子デバイスとみなすことができます。有機トランジスタを化学センサのプラットフォームとして活用することで, 標的種を捕まえると, 電流値や電圧が変化するため, 標的腫や濃度の違いを読み出すことができます。

本研究会では, 天然に着想を得た「バラバラの分子が集まることで生まれる新たな機能」を活用した超分子デバイスによって, 分子認識材料の可能性を引き出すガイドラインを作成します。